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理事研修視察実施報告

 佐賀市自治会協議会理事研修を7月15日、16日の2日間に渡り、「まちづくり」をテーマに、市民によるまちづくりに成功している地域の視察を実施しました。

①大分県日田豆田町(日田市観光協会)


 さびれてしまった豆田町の商店街を活気づける方法を模索する中で、商店主たちが昭和52年に飛騨高山を視察された時、飛騨高山では古い建物を上手にアレンジした商店や飲食店に多くの観光客が集まっているところを見て、新しいものがもてはやされた時代が「物から心」の時代へ変わってきていることを感じたそうで、豆田町にも飛騨高山と同じく古い町並みが残っていたことから、これを生かしたまちづくりを行うことになったそうです。



 まず、昭和54年から、豆田町が江戸時代に幕府の天領地であったことから「日田天領まつり」と銘を打ち江戸時代にちなんだお祭りを開催されました。
 また、昭和59年から旧家にある江戸時代のひな人形を生かして、「天領ひたのおひなまつり」を開催されました。
 これらのまつりは、ハード面の環境整備、イベントのバックアップ等で行政も巻き込んで、年間50万人の観光客が訪れるイベントに成長しているそうです。

②大分県宇佐市安心院町(NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会)


 グリーンツーリズムとは、農村等豊かな自然環境の中で農業体験や地域の人々と触れ合うことをいいます。
 農業収入が減少している昨今、安心院町農業者は、農家と農業を守るための方策として、グリーンツーリズムに取り組まれていて、中でも「農家民泊」を行うことで所得向上を目指されています。
 「農家民泊」を行ううえでは、旅館業法や食品衛生法などの民泊に対する法の壁がありましたが、グリーンツーリズムに取り組む農家の人々の熱意と行政のバックアップにより、この問題も解決され、安心院町はグリーンツーリズムで全国的に注目される町となっています。最近は、体験学習や修学旅行の学生の受け入れが多く、所得向上の成果もあがっているようです。
 安心院では「1回泊まれば遠い親戚、10回泊まれば本当の親戚」をキャッチフレーズに、まごころを持って宿泊者をお迎えされています。

③大分県臼杵市(ツーリズムうすき)


 ガイドの方と町歩きをしながら、町の景観やその保存、また景観にちなんだイベントについて説明を受けました。
 臼杵市の市街地は、江戸時代からの古い建物がたくさん残っていて、当時の息遣いさえ感じられるようなすばらしい景観で、国の都市景観100選にも選ばれています。
 「これを保存していくことは、行政だけではなく市民一人一人が臼杵の町の景観を大事にすることが重要である。」と説明いただきましたが、建物を新築する時は法人、個人を問わず、周囲の景観に沿って建築されていて、市民の臼杵の町並みを守りたいという気持ちが感じられました。
 この景観を生かしたイベントとして、「うすき竹宵」という2万本の竹ぼんぼりに明かりを灯す幻想的なイベントが開催されていて、多くの観光客で賑わっています。これは、竹の間伐材を有効活用するために国宝臼杵石仏を造ったと伝えられる真名長者の伝説を再現した市民発のイベントで、竹灯篭のイベントのさきがけとして知られているそうです。



総評
 視察した各市は、それぞれ異なる手法でまちづくりの成果をあげていましたが、そこに至る出発点やプロセスに数多くの類似点がありました。
 例えば、
 1.町の将来を憂い、真剣に町を活性化させようとするリーダーがいて、そのリーダーが並々ならぬ統率力を備えている。
 2.町の魅力を客観的な目で見て、観光資源にまで昇華させている。
 3.行政がまちづくり活動をメインで行っていない。等であります。
 特に3については、リーダーが住民を巻き込み、住民独自のプランを作って行政に具体的な協力を要請し、行政は要請に対し積極的にサポートするといった、行政主導ではなく住民主導の協働関係が構築され、それが円滑に機能している印象を持ちました。


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